建設業許可取得の要件


令3条の使用人「盲点と矛盾」

投稿日時:2014/06/01 09:13

前々回、前回と2回にわたり「令3条の使用人」について述べてまいりましたが、今回でまとめたいと思います。
まずは、このシリーズの中で令3条の使用人の制度には「意外な盲点がある」とたびたび申し上げてきましたが、お分かりいただけたでしょうか。
 大手の大臣許可業者の建設業を営む支店であれば、当然支店長は令3条の使用人として届け出られているはずで、前回のストーリーの中で、最初にAさんが知ったという「大手の支店長は経営業務の管理責任者の資格がある」とはそういうことです。
 支店とはいえ完成工事高数百億円で、地元の中小企業よりはるかに規模が大きいので、その経営の舵取りをしている支店長は、取締役でなくとも建設業の経営経験を積んでいるということに疑問の余地はないと思います。
 一方、久留米出張所長はどうでしょうか。事務所の規模もさることながら、指名願の提出や入札に行く程度の仕事では、当のAさんが思ったように、建設業の経営経験とはいえないのではないでしょうか。
しかし、同じ令3条の使用人である限り「建設業の経営経験」とされ、すなわちこのようなケースでも、所定の年数あれば「経営業務の管理責任者」としての要件を満たすことになり、何の区別もされることはありません。
このような建設行政の画一的な取り扱いが、時にAさんのようなラッキーな結果をもたらすことがあるのですが、実は「よかった、よかった」という話だけではないのが始末の悪いところです。
 引き続き前回のストーリーを引き合いに出しますが、副支店長は久留米出張所長よりはるか上席の役職であり、支店の営業すべてを管掌しているにもかかわらず、令3条の使用人ではないので「建設業の経営経験はない」ということになります。
すなわち副支店長を何年務めようが、取締役でもない限り経営業務の管理責任者にはなれないわけです。なれないこともありませんが、それには副支店長というポストが「経営業務の管理責任者に準ずる地位」であることの特別な証明をしなければなりません。
そのためには、詳細の手順は省略しますが、副支店長が「取締役会の決議により業務執行権限を受ける者として専任され、取締役会が定めた業務執行方針に従って、代表取締役の指揮及び命令のもとに具体的な業務執行に専念した」ことを証明しなければならず、決して簡単にできるものではありません。むしろ大手であっても、そこまでのお膳立てを整えている会社はまれなのではないでしょうか。
いずれにしても、「令3条の使用人であるかないか」によってこれほどまでの取り扱いの差があるとは、当事者の気持ちに立った場合甚だ理不尽であると思います。
 建設業法は、建設業許可業者が支店や営業所に責任者を置くことを予定して、令3条の使用人というものを定めました。
 本店以外の従たる営業所には「支店」「営業所」「出張所」等色々ありますが、単なる呼称の違いではなく、組織的機能に比例して「長」の職責にも著しい格差がある場合がほとんどであるにもかかわらず、建設行政はこのような矛盾を認識していません。
あくまで私見ですが、建設業の経営経験として認めるべきでないそれらのものまで同じ令3条の使用人として取り扱うのは、行政行為の瑕疵であると思います。
 今後何らかの形で改善されないことには、不適格業者だけでなく適格業者までを排除する結果となり、建設業に携わる多くの意のある方々の芽を摘むことにもなりかねず、延いては社会的にも大きな損失となるのではないか申し上げ、本シリーズの締めくくります。



Powered by Flips