令3条の使用人とは、「建設業法施行令第3条に規定する使用人」のことで、建設工事の請負契約の締結及びその履行に当たって、一定の権限を有すると判断される者です。
具体的には、支店及び支店に準ずる営業所の代表者、すなわち「支店長」「営業所長」のことをいいます。個人事業でも支配人登記された支配人が該当しますが、これらはレアケースなので、建設業を営む法人の支店長や営業所長と考えて、ほぼ間違いありません。
また、建設業法では、建設業法上の建設業者(許可を受けて建設業を営む者)が従たる営業所である支店や営業所に責任者を置くことを予定しており、それを「令3条の使用人」としていますので、明文にはありませんが、建設業許可業者でない法人の支店長、営業所長は該当しないと考えられます。
令3条の使用人は、当該営業所において締結される請負契約について総合的に管理することが求められ、原則として、当該営業所において休日その他勤務を要しない日を除き一定の計画の下に毎日所定の時間中、その職務に従事していること、いわゆる常勤の者でなければなりません。
さて、この令3条の使用人ですが、次のとおり建設業法第7条第1号イの「経営業務の管理責任者としての経験を有する者」の一つとして認められています。
建設業許可事務ガイドライン(平成25年4月17日国土建第13号)
【第7条関係】
1.経営業務の管理責任者について(第1号)
(4)「経営業務の管理責任者としての経験を有する者」とは、法人の役員、個人の事業
主又は支配人その他の支店長、営業所長等営業取引上対外的に責任を有する地位に
あって、経営業務の執行等建設業の経営業務について総合的に管理した経験を有す
る者をいう。
つまり、経営業務の管理責任者としての経験は、必ずしも法人の取締役等に限られるわけではありません。
令3条の使用人を務めた期間が5年ないし7年あれば、建設業許可を取る上で、同様に経営業務の管理責任者としての要件として認められ、取締役等他の経験と合算して当該年数を満たすことも可能です。
この令3条の使用人ですが、実は意外な「盲点」ともいえるものがあります。
次回は実務事例を取り上げて、そのあたりのことをお話ししたいと思います。