建設業許可申請の経営業務の管理責任者としての経験を証明する資料の一つとして「確定申告書」の写しがあります。
法人の役員の経験で申請する場合は、当該任期に係る「法人税及び消費税の確定申告書」、個人事業主の経験で申請する場合は、当該期間に係る「所得税の確定申告書」をそれぞれ提出します。
さて、個人事業主の所得税の確定申告書については、申告書の様式にA様式とB様式がありますが、建設業の経営経験を証明するためには「B様式」である必要があります。
その理由は、それぞれの申告書の用途の違いにあります。
A様式は、サラリーマンが給与所得以外の雑所得、配当所得等を申告したり、医療費控除や住宅ローン控除等を受ける場合、その他年金受給者などが使う申告書です。
一方B様式は、A様式よりも対象者が広い申告書で項目も多く、個人事業主やフリーランスの方はこちらを使って申告します。
つまりA様式は、本来予定納税がない方用の簡易な様式の申告書なので、A様式で申告していれば、個人事業として専業で建設業を営んでいたのではなく、単に「副業」として建設工事を請け負っていただけであり、当該期間は建設業を営んでいたのではないとみなされるわけです。
もっとも個人事業主の方であれば、通常白色又は青色申告の特別控除を受けるでしょうから、これらのためにもB様式を使う必要があり、本当に建設業を営んでいたのであれば、A様式での申告はまずありえないので、それほど心配されることでもないでしょう。
しかし、個人事業として専業で建設業を営んでいたにもかかわらず、何らかの理由でA様式で申告していた場合があるかもしれません。
たとえば税務署が事業主の所得を事業所得ではなく給与所得や雑所得とみなし、A様式で申告するよう指導した結果、そのようになったなどというケースが考えられないこともありません。
仮にそのようなことがあれば、あらゆる資料を集め、事前に許可行政庁に相談するべきです。
建設業許可申請というものは、申請者一人一人の状況によって許可要件の証明方法等が異なるもので、そこが一筋縄でいかないところでもあります。
当事務所は、難しい案件であっても状況をよく精査し、解決策を見出すことが可能と判断すれば、役所との事前協議にも労を惜しみません。
建設業許可申請のことでお困りのことがありましたらお気軽にご相談ください。
建設業の経営経験の証明「個人事業主の確定申告書」
投稿日時:2015/01/25 17:48