建設業許可申請の新規申請や更新申請の際には、「営業所調査」というものが行われます。
営業所調査の目的は、許可要件である「経営業務の管理責任者」「専任技術者」が建設業法の規定に即して置かれているかどうか、そして、常時建設工事の請負契約を締結する事務所としての機能を有する「営業所」であるかどうかを確認することにあります。
営業所そのものの基準としては、業務を行うことができる独立した事務所(他の事業者や個人の生活部分からの独立性が保たれている)であり、事務所としての形態(電話、机、各種事務台帳の保管スペース等)があることなどが必要で、初めて営業所調査を経験する申請者も、大体このあたりのことはよく認識されていらっしゃるようです。
しかし、これらもさることながら、忘れてならないのは営業所としての「使用権原」が確保されているかどうかということであると思います。
ちなみに「権原」とは、一定の法律行為又は事実行為を行うことを正当化する法律上の原因のことで、ここでいう使用権原とは所有権や賃借権等であり、要するに自己の所有物件又は賃貸借契約等を結んで使用している営業所でなければならないということです。
特に注意すべきは自宅を兼ねている賃貸物件の場合であり、このような場合は、契約書上にあらかじめ「事務所としての使用を認める」旨の文言が入っているか、別途に家主又は管理不動産会社の使用承諾を取り付ける必要があります。
それらがなければ、当該物件は営業所として認められず、他の許可要件を満たしていても建設業許可は取得できません。他に物件を借りるなどしなければなりません。
お心当たりのある方は、許可申請を行う上で、まずそのあたりの対策を講じておく必要があろうかと思いますので、十分お気を付けください。