建設業許可を取得しない本当のリスク

公開日:2016年01月31日 / 最終更新日:2016年02月12日

許可がないことにより取引先に迷惑をかけるケース

建設業許可がないと「元請からの仕事が来なくなるかもしれない」とか「資金調達が厳しくなる恐れがある」などと謳っている同業他事務所のサイトをよく見かけますが、このような「建設業許可を取得しないリスク」について、当事務所は少々異なる見解を持っています。


確かにゼネコン各社が施工上のコンプライアンスを担保するために、軽微な工事のみを請け負う下請業者に対しても許可取得を求める傾向があるのは事実です。


しかし、皆様方が一番よくお分かりのように、本来建設業者にとって大切なのは「誠実な施工」「高い技術力」などであり、建設業というものは、これらなくして「許可さえあれば仕事が取れる」ようなものではありません。


いつの時代も元請は、手際よく現場を納めてくれる下請に仕事を発注したいもので、それが一人親方の個人事業主であろうが会社組織の法人であろうが、許可業者であろうが無許可業者であろうが、基本的には関係ないものです。


資金調達リスクにしても、信用保証協会の「制度融資」(中小企業等の支援を目的とする制度に基づく融資)の基本条件が「建設業の場合は建設業許可を受けていること」とされているだけのことで、許可がなければ他に融資を受ける道がないわけではありません。


ですから、仕事が真面目で技術力もある建設業者の皆様であれば、資金調達の問題はともかく、許可がないことで元請から仕事が来なくなるということは皆無ではないにせよ、本質的なリスクとはいえません。


それよりも建設業許可を取得しない本当のリスクは、もっと別のところにあると考えるべきです。それは、いつまでも許可を取らないことで「元請や発注者に迷惑がかかる恐れ」があり、ひいては、これらの人々との「信頼関係を損なう」ことにもつながりかねないということです。


多分、このコンテンツをご覧のまだ許可をお持ちでない皆様にも、日頃から優先的に仕事を回してくれるような親しい間柄の元請の現場所長などがいらっしゃる方が多いと思います。


元請の所長は、皆様がいつもきちんとした仕事をしてくれるので、皆様のことを大変重宝していることでしょう。しかし、その一方で皆様が許可を持っていたら「もっと仕事が出せるのに」「もっと金額の大きい仕事を回せるのに」といった不満にも似た気持ちもありはしないでしょうか。


また、その程度のことならいいのですが、「この仕事は何としてでも○○(皆様の会社名等)にやらせたい。しかし、500万円を超えるので発注できない」などという問題が出てくると、事態は少々深刻になってきます。


元請の所長がどうしても皆様のところに発注したいのは、日頃から懇意にしているという理由だけではないと思います。

たとえば、何らかの特殊事情(皆様でなければできないような工期、仕事の難易度等)があって、皆様ではない許可を持っている他の業者が取って代わることができないような場合です。


建設工事というものは、請け負った予算や工期の中で図面どおりのものが完成されなければならず、完成する建設物には、求められるべき一定の品質や性能というものがあります。


このような場合、元請の所長は、皆様でなければこれらの要求を満たすことができないことが分かっていながら、発注金額の上限の縛りを理由に他の許可業者に発注するでしょうか。元請も施主との契約を履行すべき責任上、私は、ほとんどの場合それは考えられないと思います。


そこで元請の所長は、皆様のことを慮って、表に出ない形で皆様に工事をそのまま発注するか、あるいは2つ以上の契約に分割して発注するような苦肉の策を講じることでしょう。


大変ありがたい元請さんのご厚意ですが、これがあだになることがあります。

それは、不幸にして違反が発覚したときのことで、このような場合、許可を受けずに工事を施工した業者は3年以下の懲役又は300万円以下の罰金(情状により併科あり)、発注者の元請業者も建設業法に基づく監督処分の対象となります。(建設業法第28条、第47条)


ちなみに500万円を超える工事を2以上の契約に分割しても、請負代金の額は各契約の合計額とされているので、違反行為のそしりを免れることはできません。

許可なく受注した張本人が咎められるのは仕方ないとしても、せっかく好意的に取り計らってくれた相手方にまで処分が及ぶというのはいかがなものでしょう。


軽微な工事のみの請負であれば、確かに建設業許可は必要ありません。しかし、そのような考えは、時に自分勝手な都合でしかないこともあるのです。


元請の「早く許可を取れ」というのは、決して無理難題ばかりとは言えません。親心であることもぜひ知っておいていただきたいと思います。(実際に、当事務所にもそんな元請さんを介しての依頼がよくあります)


元請、発注者等の取引先の期待と信頼に応え、良好な関係を築いていく上でも、建設業許可の取得は前向きに考える必要があるといえるのではないでしょうか。


 コンテンツ監修者プロフィール


 高松 隆史(たかまつ たかし)

 昭和35年10月9日生まれ。行政書士。

 行政書士高松事務所・建設業許可申請サポート福岡代表。


 地場老舗ゼネコンの社長室長、常務取締役を経て、平成22年5月行政書士登
 録。福岡市を中心に福岡県内全域で年間100件以上の依頼・相談を受ける。

 建設業の産業特性や業界事情、商慣習等を自らの肌で知る「元建設業経営者
 の行政書士」として、建設業許可の取得支援業務を最も得意とする。

 建設業者が抱える経営法務の諸問題に対し、建設業実務に即した実戦的なア
 ドバイスができる建設業法の専門家として定評がある。


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