公開日:2021年11月27日 / 最終更新日:2021年12月17日
建設業許可申請書(賞罰欄)前科がある人は要注意! |
建設業許可申請書の様式には、常勤役員等(経営業務管理責任者)、建設業法施行令第3条に規定する使用人(令3条の使用人)、役員等についての「略歴書」や「調書」というのもがあり、それぞれ「賞罰欄」が設けられています。
賞罰の「賞」とは公的な受賞歴や表彰歴、「罰」とは刑法犯罪の有罪歴で、なければ「なし」と書いておけばよいのですが、過去に犯罪歴があり、刑事罰を受けた方が許可申請をする場合、どのように記載すればよいのでしょうか。
対象となる刑事罰について
建設業法第8条第7号及び第8号には、建設業許可の欠格要件(許可を与えてはならない者の要件)について、次のとおり書かれています。
建設業法 第八条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は許可申請書若しくはその添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、許可をしてはならない。 七 禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者 八 この法律、建設工事の施工若しくは建設工事に従事する労働者の使用に関する法令の規定で政令で定めるもの若しくは暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律の規定に違反したことにより、又は刑法第二百四条、第二百六条、第二百八条、第二百八条の二、第二百二十二条若しくは第二百四十七条の罪若しくは暴力行為等処罰に関する法律の罪を犯したことにより、罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から五年を経過しない者 |
したがって、対象となる刑罰とは「禁固以上の刑(禁固・懲役・死刑)」及び「罰金刑」(建設業法、刑法(傷害、暴行、脅迫、背任、現場助勢、凶器準備集合)、建築基準法、宅地造成等規制法、都市計画法、景観法、労働基準法、労働者派遣法、職業安定法、暴力団対策法等に違反したことによるもの)です。
ただし、これら欠格要件に問われるのは、刑の執行を終わり、又は刑の執行を受けることがなくなった日から5年以上経過していない者です。
【ご参考までに】
①5年間を経過しない者とは
欠格要件を問われなくなる5年の起算点とは、懲役刑なら出所の日、罰金刑なら罰金を支払った日からです。
②刑期中に仮釈放されたら
仮釈放されても刑期を終えたことにはならないので、本来の刑期を終えた日が5年の起算点となります。
③執行猶予の場合は
執行猶予期間が経過すれば、刑の言い渡しがなかったことになるので、その時点で欠格要件を免れます。
どこまでの「罰」(刑罰歴)を記載すべきか
5年どころか、刑の執行を終え10年も20年も経った罰まで略歴書や調書への記載が必要なのでしょうか。求職活動等で履歴書に賞罰の記載を求められる場合などは、効力が消滅した前科・前歴は書く必要がないと言われていますが、「建設業者としての適正を期待しうる者であるか否か」の判断にかかわることですので、正直に書かなければなりません。
現に、前記建設業法第8条の条文後半には「許可申請書若しくはその添付書類中に(中略)重要な事実の記載が欠けているときは、許可をしてはならない。」とあります。また、今一つの許可要件「誠実性」(建設業者として不正又は不誠実な行為をするおそれがないこと)というものもあります。
過去の刑罰歴の記載がないことがこれらに反すると判断されでもすれば、不許可又は許可取消しとなり、向こう5年間は新たな許可は受けられなくなります。
ここは一つ、下手に隠し立てすることなく、正直に事実を申告すべきです。
ちなみに、これまで当事務所でもそのような案件を数件手掛け、すべての申請において申請者の前科等を包み隠さず申告しましたが、不利益な取扱いは一度たりとも受けたことはありません。
略歴書の賞罰欄に書く「罰」の内容と書き方
【賞罰(罰)の記載例】
年 月 日 | 賞 罰 の 内 容 |
平成 9年10月 | 詐欺罪にて罰金刑 執行猶予(平成13年10月期間満了) |
平成14年 3月 | 傷害罪にて懲役刑(平成15年12月刑期満了) |
「具体的な日付」(記憶があいまいであれば大体の日付)、「罪」及び「刑」の内容を省略することなく記入し、執行猶予と懲役の場合は、終了時期も書いておくとよいでしょう。これは、新規申請のときだけでなく、5年毎の更新申請の際も同じ内容で提出します。
なお、建設業許可申請書は、管轄の土木事務所等で誰でも閲覧できるようになっていますが、個人情報保護の観点から、このような書類は公開されていません。
追記
罪を問われなくなった犯罪でも、それを行った事実まで消えるわけではないので正直に申告すべきということでしょうが、許可行政庁によっては、また別の判断をすることがあるかもしれません。
心当たりのある方は、まずは許可行政庁に相談してみることです。
コンテンツ監修者プロフィール 高松 隆史(たかまつ たかし) 昭和35年10月9日生まれ。行政書士。 行政書士高松事務所・建設業許可申請サポート福岡代表。 地場老舗ゼネコンの社長室長、常務取締役を経て、平成22年5月行政書士登 建設業の産業特性や業界事情、商慣習等を自らの肌で知る「元建設業経営者 建設業者が抱える経営法務の諸問題に対し、建設業実務に即した実戦的なア 建設業許可申請サポート福岡 〒810-0024 福岡市中央区桜坂3丁目12番92-208号 TEL 092-406-9676(行政書士高松事務所) |
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