解体工事の実務経験証明について

公開日:2022年06月08日 / 最終更新日:2022年06月12日

実務経験を証明して解体工事業の許可を取るには

月日が経つのは早いもので、平成28年6月建設業の業種区分に解体工事業が追加され、六年になります。

 

解体工事業の建設業許可においては、経過措置期間を経て、旧とび・土工工事業許可の解体工事業者、土木・建築工事業者等の業種追加申請がひと段落し、一方で新たに解体工事業を営むようになった事業者の参入により、これら事業者の新規申請が増えています。

 

建設業許可の技術者要件である専任技術者について、旧とび・土工工事者、土木工事業者、建築工事業者等は、施工管理技士等の国家資格者がいることが多く、ほとんどの場合、労せずに許可取得に至っています。

 

しかし、新規参入事業者の場合、かような国家資格者が在籍するのは稀で、場合によっては、限られた陣容の中で実務経験を証明しながらの許可申請となることもあろうかと思いますが、これがなかなか一筋縄ではいかないものです。

 

そこで、これら解体工事の新規参入事業者が、実務経験で解体工事業の許可を取る際の要件証明について、留意すべきポイントをまとめてみました。

解体工事の経験は解体工事でなければならない

解体工事は、元々とび・土工工事業の許可でカバーされていましたが、だからといって、法改正前にとび・土工工事業の許可を受けていれば、その経験をすべて解体工事の実務経験に参入できるのではありません。あくまで解体工事と解体工事以外のとび・土工工事は別物です。

 

土木一式工事や建築一式工事でも解体工事は施工されますが、それらは主たる一式工事に附帯する従たる工事なので、解体工事の実務経験とはなりえません。

 

解体工事に係る実務経験は解体工事、すなわち建築物等を解体する工事、しかもそれが主たる工事でなければならないことを、まずしっかり認識してください。

 

また、タイル・れんが・ブロック工事、内装仕上工事等の各専門工事の目的物のみを解体する工事、建築物等を解体する工事でも、総合的な企画、指導、調整のもとに土木又は建築一式工事として施工される工事は解体工事ではありません。

 

なお、解体工事の経験だけで10年以上にならない場合、要件緩和措置として、解体工事の経験が8年以上、併せて土木一式工事、建築一式工事又はとび・土工・コンクリート工事の三種類いずれかの工事の経験が4年以上あって、通算12年以上になれば、解体工事10年以上の実務経験とみなすという制度があります。

解体工事業登録を受けた事業者での経験であることが基本

解体工事の経験は、建築物等を解体する工事でなければならないことは申しあげたとおりですが、実は、もう一つ大きなポイントがあります。

 

解体工事を営もうとする者は、元請・下請の別を問わず「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」(建設リサイクル法)に基づき、解体工事を行おうとする区域の都道府県知事の登録(解体工事業登録)を受けなければなりません。

 

よって、実務経験となる解体工事は、解体工事業登録で請け負ったものであることが必要で、同登録を受けていない事業者に所属して解体工事を施工していたとしても、それは適正な解体工事の実務経験として認められないということを知っておいてください。

 

経営業務管理責任者も同様で、解体工事の請負をやっていたとしても、解体工事業登録がなければ、それは適正な解体工事の経営経験とは認められません。

土木工事業・建築工事業・解体工事業の各許可業者での経験も

解体工事を請け負うためには、建築リサイクル等に基づく解体工事業登録を受けることが必要ですが、建設リサイクル法第21条には、登録の適用除外についての記載があります。

 

一つは解体工事業の建設業許可、そして今一つは土木工事業及び建築工事業の建設業許可業者です。解体工事業の許可業者は当然として、土木工事業、建築工事業の許可業者も解体工事業登録なしで解体工事の請負ができるというわけです。

 

よって、これら許可業者において従事した解体工事の経験は、解体工事の実務経験期間に参入することができます。

ただし、あくまで解体工事、建築物等を解体する工事でなけれななりません。土木工事や建築工事でもよいと誤解しないでください。

解体工事の実務経験証明のまとめ

まず、解体工事の経験として認められる工事とは、建物、構築物等を解体する工事だけです。各専門工事において建設される目的物を解体する工事は、当該専門工事に該当し、解体工事ではありません。土木工作物や建築物を解体する工事でも、総合的な企画、指導、調整のもとに施工される工事は、土木又は建築の一式工事に該当し、同様に解値工事ではありません。

 

次に、解体工事は建設リサイクル法により、解体工事業登録を受け、営むことが定められていますので、同登録の下で請け負われた解体工事でなければならないことが原則です。

 

例外的に、土木工事業、建築工事業又は解体工事業の建設業許可業者は解体工事業登録が義務付けられていませんので、これら許可業者において積んだ解体工事の経験は、実務経験に参入することができます。

 

約まるところ、解体工事の実務経験として有効と認められるのは、解体工事業登録及び建設業許可(土木工事業・建築工事業・解体工事業)を受けている事業者において従事した経験ということになります。

 

なお、請負金額500万円(税込)以上の解体工事を施工できるのは、解体工事業の許可を有する事業者だけです。解体工事業登録業者、土木工事業及び建築工事業の許可業者での経験なのに、そういう証明資料等が提出されると面倒なことになりますので、そのような点もご注意ください。


 コンテンツ監修者プロフィール


 高松 隆史(たかまつ たかし)

 昭和35年10月9日生まれ。行政書士。

 行政書士高松事務所・建設業許可申請サポート福岡代表。


 地場老舗ゼネコンの社長室長、常務取締役を経て、平成22年5月行政書士登
 録。福岡市を中心に福岡県内全域で年間100件以上の依頼・相談を受ける。

 建設業の産業特性や業界事情、商慣習等を自らの肌で知る「元建設業経営者
 の行政書士」として、建設業許可の取得支援業務を最も得意とする。

 建設業者が抱える経営法務の諸問題に対し、建設業実務に即した実戦的なア
 ドバイスができる建設業法の専門家として定評がある。


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