建設業許可のあらまし

公開日:2014年12月09日 / 最終更新日:2018年03月25日

建設業許可制度の概要

建設業許可を申請するに際しては、事前に建設業法における許可制度の趣旨等を理解し、その上で社内体制を整備し、申請準備を進めていくことが大切です。

建設業法の目的と建設業許可

建設工事の目的物には、道路・上下水道・鉄道等の「社会基盤」、学校・病院等の「公共施設」、工場・社屋・店舗等の「産業・商業施設」、そして我々の日常生活の本拠である「住宅」などがあります。

これら建設工事の目的物が適正、安全、かつ、経済的に建設されることは、公共の福祉にとって非常に大切なことであり、建設業法は次のことを目的として定められています。



 建設業法第1条(目的)
 この法律は、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等
 を図ることによつて、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護すると
 ともに、建設業の健全な発達を促進し、もつて公共の福祉の増進に寄与する
 ことを目的とする。

 


そして、建設業を営む者の資質の向上、建設工事の請負契約の適正化等を図ることにより建設業法の目的を達成するため定められたのが建設業の許可制度です。

建設業許可が必要な工事とは

建設業(建設工事の完成を請け負うことを業とする者)を営もうとする者は、政令で定める軽微な建設工事のみを請け負う場合を除き、建設業の許可を受けなければなりません。(建設業法第3条第1項)


具体的には、下表に条件に該当する工事を行う場合にはその種類に応じた建設業許可が必要となります。


建築一式工事 ・1件の請負金額が1,500万円以上の工事(消費税を含む)
・請負金額に関わらず木造住宅で延べ床面積が150平方メートル
 以上の工事(消費税を含む)
その他の工事
・1件の請負金額が500万円以上の工事(消費税を含む)


許可を受ける必要があるのは、法人、個人を問わず、発注者(施主)から直接工事を請け負う元請負人である場合はもちろん、下請負人として建設工事を請け負う場合も含まれます。



 つまり、個人、株式会社(特例有限会社を含む)、合資会社、合名会社、合
 同会社、営利を目的とする社団、中小企業等協同組合法による事業協同組合、
 企業組合など、名称にかかわらず、業として建設工事の完成を請け負い、上
 記に該当する工事を施工する者は、すべて建設業許可が必要ということです。



建設業許可を受けずに軽微な建設工事の限度を上回る建設工事を請け負い営業すると、無許可営業として刑罰(3年以下の懲役又は300万円未満の罰金)の対象となります。(同法第47条第1項第1号)


なお、軽微な建設工事のみを請け負うことを営業とする場合であっても、許可を受けることは差し支えありません。

公共工事の入札には必ず建設業許可が必要

官公庁に指名願を提出し、公共工事の入札に参加するときは、請負金額の多寡にかかわらず、必ず建設業許可を受けていなければなりません


また、公共工事の入札に参加しようとする建設業者は経営事項審査(経審)を受けることが義務付けられていますので、許可を受けた後はこれを受審し「総合評定値」の通知を受けておく必要があります。


ここまでを行って、初めて、官公庁に指名願を提出できるようになります。

建設業許可の有効期間

建設業許可の有効期間は5年間です。

許可通知書に記載された期間満了日が休日等であっても同様であり、引き続き許可を受けて建設業を営もうとする場合は、有効期間満了日の30日前までに更新の手続きを取らなければなりません。


更新手続きを失念すれば、期間満了とともに効力を失い、以後許可を必要とする工事を請け負うことはできなくなります。


●許可業者は、毎年営業年度終了後4ヵ月以内に変更届出書(決算変更届)を提
 出しなければなりません。更新時に5年分の決算変更届の提出がないときは更
 新許可が受けられなくなります。
●許可内容に変更(経営業務の管理責任者や専任技術者に変更が生じた場合等)
 があったときは、定められた期間内に必ず変更届を提出してください。


 コンテンツ監修者プロフィール


 高松 隆史(たかまつ たかし)

 昭和35年10月9日生まれ。行政書士。

 行政書士高松事務所・建設業許可申請サポート福岡代表。


 地場老舗ゼネコンの社長室長、常務取締役を経て、平成22年5月行政書士登
 録。福岡市を中心に福岡県内全域で年間100件以上の依頼・相談を受ける。

 建設業の産業特性や業界事情、商慣習等を自らの肌で知る「元建設業経営者
 の行政書士」として、建設業許可の取得支援業務を最も得意とする。

 建設業者が抱える経営法務の諸問題に対し、建設業実務に即した実戦的なア
 ドバイスができる建設業法の専門家として定評がある。


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