経営業務管理責任者が他社の代表取締役を兼ねていると

公開日:2021年05月29日 / 最終更新日:2021年06月02日

経営業務管理責任者の常勤を欠く重大な違法状態です

建設業許可を受けている会社で、代表取締役が経営業務管理責任者に就任しているにもかかわらず、当該代表取締役が関連会社等の他社代表取締役を兼務していることがありますが、これは「経営業務の管理責任者の常勤」という許可要件を欠く重大な違法状態です。

発覚すれば許可取消処分となるのか!?

何しろ建設業の許可要件を欠いた状態になっているのですから、そうなったとしても何の不思議もないところです。

 

実際に経営業務管理責任者や専任技術者という人的要件を欠き、後任者がいないとなれば、許可はその時点で失効という取扱いになっています。

 

そこでその点どうかと言いますと、私の今までの経験からすれば、いきなりの許可取消処分とはならず、「適正にしてください」という行政指導が行われると思いますが、それでも始末書の提出くらいは覚悟しておいた方がよいでしょう。

経営業務管理責任者が他社代表取締役を兼務しているケースとは

建設業者で経営業務管理責任者を務める代表取締役が他社の代表取締役を兼務し又は兼務するに至り違法状態となったケースとは、概ね次のような場合です。

【ケース1】

建設業者A社を頂点に、その傘下に不動産業、賃貸管理業を営む子会社があり、それらすべての代表取締役がA社で経営業務管理責任者を務めるA社長になっている。

【ケース2】

B社は数年前に建設業許可を取得したが、実は許可申請中に別会社C社を設立していて、その会社の代表取締役にB社で経営業務管理責任者を務めるB社長が就任していた。

昨今は自社ホームページを持つ会社がほとんどと言っていいほどですが、許可行政庁はこういった申請者のサイトをけっこう見ています。関連会社などあればリンクが張られていることが多いので、こういったところからこれら違法状態が発覚するというわけです。

経営業務管理責任者と他社代表取締役の兼務が認められない理由

世間一般では、同じ人が複数の会社の代表を兼務しているなど珍しいことではありません。にもかかわらず、建設業許可制度において「経営業務管理責任者が自社以外の代表取締役を兼務すること」がなぜ認められないのでしょうか。

 

それは、他産業とは著しく異なる建設業経営の特殊性にあります。建設業は一品ごとの注文生産で、一つの工事の受注毎にその内容に応じた資金調達、資材の購入、技術者及び労働者の配置、下請負人の選定及び契約締結を行い、また工事目的物の完成引渡しまで適切な施工管理を行うことが必要です。

 

そこで建設行政は、このような建設業の経営が適正に行われることを確実にするために、建設業の経営管理を総合的につかさどる経営業務管理責任者に常勤であること、すなわち休日等を除き、毎日所定の時間中、その職務に従事し、日常の業務を執行することを求めています。

 

つまり、会社の最高責任者として当該会社の業務執行に関するすべての権限を有する代表取締役という職責について、経営業務管理責任者が、勤務する建設業者以外の他社でこれを担うことは前記の趣旨と相容れるものではなく、非常勤の名目をもってしても認められないと考えているわけです。

他社代表取締役兼務による経管常勤性の瑕疵を是正するには

他社代表取締役の兼務により建設業を営む当社での常勤性に瑕疵が生じているときに取るべき措置としては、次のとおりです。

 

人事に関する件なので簡単にはできない場合もあるでしょうが、許可を取得又は維持するためには避けては通れないことです。

他社の代表取締役を退任する

当然のことですが、他社の代表取締役を退任すれば肩書は1つになりますので、当社での常勤性は担保できます。

 

たとえばケース1のA社であれば、建設業許可に影響がない他の取締役、A社長の配偶者等の他者を代表取締役に選任することが考えられます。

 

なお、株式の保有を目的する「〇〇ホールディングス」等の名称の持株会社は、自ら生産、販売等の業務を行うものではないことから、代表取締役の職責について、例外的に非常勤が認められています。たとえばA社他グループ各社がAホールディングスという持株会社により統合され、同社の社長をA社の社長が兼務していても、それは否認されることはありません。

他社の代表取締役について非常勤となる

再三申し上げてきたように、経営業務管理責任者が他社の代表取締役を兼ねることは、それが非常勤であっても認められないわけですが、当該他社に複数の代表取締役がいる場合はこの限りではありません。

 

たとえばケース2のB社であれば、当該他社においてB社長以外に代表取締役を追加選任し代表取締役が複数名となれば、当該他社でのB社長の職責は非常勤という大義名分は立ちます。

その他(他社の休眠届出又は解散登記)

当該他社が「アクティブに事業活動を行っていない」「登記だけで実体がない」といった場合に取るべき方法です。

 

会社の事業活動が長期間休止している状態を「休眠」といい、最後に登記手続きを行った日から12年以上経過した会社を「休眠会社」といいますが、会社の休眠は経営者の判断でいつでもできます。手続きは管轄の税務署及び県税事務所で休眠の届出を提出することにより行います。

 

当該他社が登記上存在するだけというのなら、解散登記をしてはいかがでしょうか。解散登記だけでは会社は消滅せず、最終的には清算手続きをしなければ会社は消滅しませんが、活動を停止しているという証拠にはなるはずです。注意すべきは、会社解散時には併せて清算人の登記をしますが、解散前の代表取締役が清算人に就任していると、他社解散後も当社での常勤が認められないことです。

 

なお、これらの方法が認められるか否かは、許可行政庁の判断によって変わる場合があると思われますので、実行するなら行政庁に事前相談すべきでしょう。

最後に

許可を取って数十年という会社でも、たとえば大臣許可業者の親会社の令3条の使用人(支店等の長)として届出されている者が、当該支店等と同じ都道府県に所在し都道府県知事許可を受けている関連会社の経営業務管理責任者を兼ねているなど、思いもよらぬ形で経営業務管理責任者の常勤性に疑義が生じていることがあるものです。今一度こちらをご覧になっていただきたいと思います。

経営業務の管理責任者の「常勤」について

 

許可を取得してまだ日が浅い方、これから新規取得を考えるという方は、とりあえずは「社長が経営業務管理責任者になっていたら、たとえグループ会社であっても他社の社長の兼任はできない」ということだけ覚えておいてください。


 コンテンツ監修者プロフィール


 高松 隆史(たかまつ たかし)

 昭和35年10月9日生まれ。行政書士。

 行政書士高松事務所・建設業許可申請サポート福岡代表。


 地場老舗ゼネコンの社長室長、常務取締役を経て、平成22年5月行政書士登
 録。福岡市を中心に福岡県内全域で年間100件以上の依頼・相談を受ける。

 建設業の産業特性や業界事情、商慣習等を自らの肌で知る「元建設業経営者
 の行政書士」として、建設業許可の取得支援業務を最も得意とする。

 建設業者が抱える経営法務の諸問題に対し、建設業実務に即した実戦的なア
 ドバイスができる建設業法の専門家として定評がある。


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