附帯工事や関連業種の建設業許可

公開日:2016年04月28日 / 最終更新日:2018年04月08日

併せて取得した方がよい許可業種があるかもしれない

建設業の業種別許可制度の下では、28業種(解体工事業の新設により平成28年6月1日からは29業種)の建設工事の種類ごとに許可を受けることになっていますが、建設工事というものは複数の専門工事が組み合わされて完成されるものなので、許可を受けようとする業種のほかにも、関連する他の業種の許可も併せて取得しておいた方がよい場合があります。


一般的に建設業の許可は、自社が主として施工する業種の許可を取得しますが、業歴が長くなると、主たる工事以外の附帯工事など受注工事に関連する他の工事も依頼されることが多くなるもので、たとえば次のようなことがあります。


・建築一式工事の業者に単独で太陽光発電設備設置工事を発注する

・給排水設備の漏水復旧工事を請け負う管工事業者に内装の補修工事も依頼する

・屋内配線工事と空調設備工事を分離発注せず、電気工事業者に一括発注する


これら関連工事が軽微な工事であれば、その業種の許可を持っていなくても施工することができますが、法定金額を超えるものであれば自社で請け負うことはできず、結局その仕事は他社(許可業者)に持っていかれることになり、こうなって初めて業種追加を検討するというケースがしばしば見受けられます。


ところで、官公庁工事の入札に参加する場合は、附帯工事についても許可がある方が指名に入りやすい場合があります。たとえば、配水本管施設工事に対応する土木一式工事と水道施設工事、外壁補修工事に対応する建築一式工事、塗装工事と防水工事などや電気工事と電気通信工事などといったところです。


複数の業種の建設業許可を取得するとなると、「経営業務の管理責任者」や「専任技術者」もその分必要(それぞれ同一人が両方の要件を満たして入れば複数の必要なし)になりますが、今後の事業拡大にもつながることなので、よく検討しておきたいところです。


以下に、許可を受けようとする業種と併せて取得するケースが多い許可業種を列挙します。


<併せて取得することが多い許可業種>

土木工事業・・・・とび・土工工事業、ほ装工事業、管工事業、水道施設工事業

建築工事業・・・・とび・土工工事業、大工工事業、屋根工事業、電気工事業、内装
       仕上工事業

大工工事業・・・・とび・土工工事業、内装仕上工事業、建具工事業

左官工事業・・・・タイル・れんが・ブロック工事業、塗装工事業、防水工事業

とび・土工工事業・・・・土木工事業、ほ装工事業

石工事業・・・・とび・土工工事業、タイル・れんが・ブロック工事業

屋根工事業・・・・タイル・れんが・ブロック工事業、板金工事業、防水工事業

電気工事業・・・・管工事業、電気通信工事業

管工事業・・・・内装仕上工事業、水道施設工事業、消防施設工事業

タイル・れんが・ブロック工事業・・・・とび・土工工事業、石工事業

鋼構造物工事業・・・・電気工事業、管工事業

鉄筋工事業・・・・とび・土工工事業

ほ装工事・・・・土木工事業、とび・土工工事業

板金工事業・・・・屋根工事業、防水工事業

ガラス工事業・・・・建具工事業

塗装工事業・・・・防水工事業、内装仕上工事業

内装仕上工事業・・・・建築工事業、大工工事業、塗装工事業、建具工事業

機械器具設置工事業・・・・電気通信工事業

熱絶縁工事業・・・・管工事業

造園工事業・・・・土木工事業、とび・土工工事業

さく井工事業・・・・とび・土工工事業、管工事業

建具工事業・・・・大工工事業、内装仕上工事業

水道施設工事業・・・・土木工事業、管工事業

消防施設工事業・・・・管工事業、鋼構造物設置工事業

清掃施設工事業・・・・管工事業、機械器具設置工事業、水道施設工事業


なお、許可要件を満たしているとしても、実際に施工する予定がない業種の許可まで取得するのはあまりよいことではありません。

施工実績がないと許可の取消事由になるからです。(建設業法第29条第3号)


 コンテンツ監修者プロフィール


 高松 隆史(たかまつ たかし)

 昭和35年10月9日生まれ。行政書士。

 行政書士高松事務所・建設業許可申請サポート福岡代表。


 地場老舗ゼネコンの社長室長、常務取締役を経て、平成22年5月行政書士登
 録。福岡市を中心に福岡県内全域で年間100件以上の依頼・相談を受ける。

 建設業の産業特性や業界事情、商慣習等を自らの肌で知る「元建設業経営者
 の行政書士」として、建設業許可の取得支援業務を最も得意とする。

 建設業者が抱える経営法務の諸問題に対し、建設業実務に即した実戦的なア
 ドバイスができる建設業法の専門家として定評がある。


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