建設業許可申請レポート福岡2

公開日:2016年05月24日 / 最終更新日:2018年03月24日

個人建設業「個人のまま?法人化?」

許可区分
福岡県知事許可(一般建設業・新規申請)
許可業種
熱絶縁工事業
概  要
営業年数約40年、事業主及び子息で営む個人事業の建設業者。事業承
継を視野に入れ、許可申請と同時に法人化を検討。株式会社より設立
が簡単で費用も安い合同会社で決まるかに見えた。

(守秘義務により、一部内容を修正している箇所があります)

本件の顧客は、約40年間熱絶縁工事業を営業してこられた個人事業主です。

軽微な下請工事の施工業者にも建設業許可取得が求められるご時勢なので、この際許可取得を検討したいとのご相談を頂き、業務を受任することになりました。


顧客には2人の御子息がおられ、専従者として事業に携わっておられました。個人事業の建設業許可は事業主一代限りで、後継者に引き継ぐことはできないものですが、その点はよくご存じで、当初は事業承継も視野に入れ、法人化して許可申請したいというご意向でした。


一般的に「個人よりも法人の方が経営上メリットが大きい」と言われ、実際に個人の許可申請においては、そのような法人成りの新規申請が多いもいのです。

しかし、法人化すると、事務負担が増え、法人住民税や社会保険等の新たなコスト負担などもあるので、場合によっては個人のままがよい場合もあります。


そのことをお伝えし、まずは法人化することのメリット、デメリットをあらゆる角度から検証してみることをご提案し、ご希望であれば提携の税理士などの専門家をご紹介できる旨申し上げました。


また、家族経営的な組織なので、法人化する場合は、株式会社よりも「設立費用が少ない」「意思決定が迅速」しかも「有限責任を得られる」合同会社の形態をおすすめしました。


そして、顧客事業主を代表社員、御子息2人を社員とする合同会社の設立でほぼ決まりかけたのですが、ご家族での話し合いの結果「個人事業のままで」ということになりました。理由としては、「許可を取ることは大事だが、先行き不透明な今の時代に法人化までして本当に大丈夫なのか、今一つ確信が持てないから」ということでしたが、実に賢明なご判断だと思いました。


かくして、顧客事業主を経営業務の管理責任者、御子息の内御長男を専任技術者として、個人の許可申請に着手することになりましたが、併せて御長男を支配人登記し、令3条の使用人に据えることをご提案し、提携の司法書士により登記申請手続きが進められました。


これで、御長男は支配人として所定の経験年数を積むことにより、将来的に法人化を考える場合でも、個人のまま事業承継の時を迎える場合でも、ご自分が経営業務の管理責任者になることができます。


さて、許可申請の方の進捗ですが、前述のとおり事業主は業歴が長く、また御長男は1級熱絶縁施工技能士の有資格者であり、人的要件にはまったく問題はありません。財産的基礎の方も容易に500万円以上の残高証明を取れる状況で、これまた全く問題なしで、申請受理後も特に補正を受けることなくスムーズに許可通知となりました。


 コンテンツ監修者プロフィール


 高松 隆史(たかまつ たかし)

 昭和35年10月9日生まれ。行政書士。

 行政書士高松事務所・建設業許可申請サポート福岡代表。


 地場老舗ゼネコンの社長室長、常務取締役を経て、平成22年5月行政書士登
 録。福岡市を中心に福岡県内全域で年間100件以上の依頼・相談を受ける。

 建設業の産業特性や業界事情、商慣習等を自らの肌で知る「元建設業経営者
 の行政書士」として、建設業許可の取得支援業務を最も得意とする。

 建設業者が抱える経営法務の諸問題に対し、建設業実務に即した実戦的なア
 ドバイスができる建設業法の専門家として定評がある。


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