建設業許可申請レポート福岡3

実務経験で2業種の許可を取る

許可区分
福岡県知事許可(一般建設業・新規申請)
許可業種
機械器具設置工事業、電気通信工事業
概  要
機械器具設置工事業と電気通信工事業という実務経験証明が難しい2
業種の申請。土木用計測装置の設置になぜ2業種の許可が必要か。膨
大な請求関係資料の中からの証明資料の精査が続く。

(守秘義務により、一部内容を修正している箇所があります)

本件の顧客は、河川工事、ダム工事の水位計測装置をはじめとする土木用計測機器の販売から設置までを行う会社です。

トンネル、橋梁、河川などの公共土木工事の元請企業が主要取引先で、国や地方公共団体が発注する公共工事にも間接的にですが数多く参画しています。


本社は東京都で福岡市に支店が置かれていますが、本社は販売部門と事務部門のみで建設業は営んでいません。それに対し、福岡支店は機器の販売とともに設置工事まで請け負っています。


したがって、福岡支店が建設業を営む「主たる営業所」となり、都道府県知事の建設業許可は東京都ではなく福岡県に申請することになりますが、本件のような申請の場合、許可申請書の申請者所在地の書き方に若干の要領があります。それは、建設業を営んでいない本社を「登記上の所在地」、建設業を営む支店を「事実上の所在地」とし、二段書きで表記することです。


さて、申請の概要に入りますが、希望業種は「機械器具設置工事業」と「電気通信工事業」、経営業務の管理責任者、専任技術者は共に福岡支店長です。

支店長は、5年前の同月から現職で、取締役にも選任されていたので、申請準備期間中に経営業務の管理責任者の要件を満たすことになりました。


一方、専任技術者の要件は実務経験での証明でした。大学の工学部機械工学科のご卒業なので、機械器具設置工事業は指定学科卒業3年以上、電気通信工事は10年以上の合計13年以上を証明する必要がありましたが、入社22年目で年数は十分足りていました。


実務経験を証明するときに必要な資料は、まず指定学科卒業であれば「卒業証明書」及び「履修科目証明書」等、実経験期間中の在籍を証明するものとして「健康保険証」(会社名等の入ったもの)「被保険者記録照会回答票」等の写しを提出します。


そして、実務経験を積んだ工事の契約書、注文書、請求書等のいずれかの写しを提出しますが、これらの書類であれば何でもいいわけではありません。許可を受けようとする業種の工事であることが読み取れるものであることが必要で、内訳が資機材の運搬や保守点検等であれば工事の実務経験とはならないので、本来の建設業者ではない顧客の場合は十分注意すべきです。


実際に、本件顧客にご提出いただいた資料の中にも建設業以外の業務の契約書、請求書等が一部含まれていて差替えをお願いすることがありましたが、それよりも多少頭を悩ませたのは、これら書類の件名が「○○調査」とか「○○機器」などの一見工事ではないような名称で書かれていたことです。しかし、実際にそれらの中には機器の据付や設置等の工事も含まれているので、それが分かるように内訳書もすべて添付し、役所の審査官が審査しやすいように工夫しました。


もう一つ工夫したのは、機械器具設置工事も電気通信工事も機器や設備の設置という点では共通性があるので、行政庁から「本件において、これら業務の違いはどこか」という指摘があることを想定し、「黙視等で監視する計測装置の設置が機械器具設置工事で、デジタル無線等の機能で計測する装置が電気通信工事」という理論武装をしていたのですが、特にそのようなことを問われもせず、拍子抜けしてしまいました。


かくして、本件顧客は、機械器具設置工事業と電気通信工事業の2業種の許可取得に至ったわけですが、今後は国や地方公共団体の仕事を直接受注することも視野に入れ、経営事項審査の受審も予定しています。


 コンテンツ監修者プロフィール


 高松 隆史(たかまつ たかし)

 昭和35年10月9日生まれ。行政書士・建設業経営法務コンサルタント。

 行政書士高松事務所・建設業許可申請サポート福岡代表。


 地場老舗ゼネコンの社長室長、常務取締役を経て、平成22年5月行政書士登
 録。福岡市を中心に福岡県内全域で年間100件以上の依頼・相談を受ける。

 建設業の産業特性や業界事情、商慣習等を自らの肌で知る「元建設業経営者
 の行政書士」として、建設業許可の取得支援業務を最も得意とする。

 建設業者が抱える経営法務の諸問題に対し、建設業実務に即した実戦的なア
 ドバイスができる建設業法の専門家として定評がある。


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